異色のモデルのMシリーズ

BMWは実用性よりも走りに重点を置いたクルマ造りをしています。それらは様々な形で我々に恩恵を与えてくれますし、BMW自身もまた、モータースポーツなどに参戦してそれらを体現、新しい技術の開発とテストを行うことによりモデルチェンジを繰り返すたびに様々な新機軸を打ち出して我々を驚かせてくれています。
そんなBMWのラインアップの中に異色のモデルがあります。通称Mシリーズです。これは正確に言うとBMWの製品を使ったチューンド・マシンで、BMW・MというBMWのモータースポーツ部門が企画、製品化しているものです。もっとも現在はBMW・Mは企画と設計のみで生産はBMW自身が行っています。ラインアップとしてBMWの各シリーズ、1、3、5、6、そしてクロスオーバーSUVであるXシリーズまで部品をラインアップしています。このMシリーズはただ単にちょこっとエアロパーツをくっつけて差別化したような軟派なものではなく、実際にエンジンの中にまで手を入れており、排気量拡大やそれに伴うミッションの強化、サスペンションなどのシャーシ周りの強化などかなり本格的なものとなっています。たとえば1シリーズにおけるM135iは本来1シリーズが搭載しているエンジン、1600cc直4エンジンではなく、3000cc直6エンジンに換装しています。
また、本来AT車しかラインアップにありませんがこのM135iに関しては6速MTの選択も可能となっています。エントリーモデルにおけるチューンですらこの調子なのですから、その他のシリーズの内容もおおよそお分かりいただけると思います。BMWのヨーロッパにおけるツーリングカー選手権の活躍は耳にしたことのある方もいらっしゃると思いますが、そういったレース車両はこのMシリーズをベースとして開発しています。このMとよく比較されたり、混同されたりするのがアルピナですが、このアルピナはBMWの公認を受けているものの外部のチューナーであり、独自に開発、生産販売をしています。BMWのチューンドカーの開発、販売の他にワインを販売していたりする変わったチューナーです。
余談ながらこちらのアルピナチューンのクルマはBMWの正規車両同様、保証を受けることができるようです。話を戻してMシリーズですが、中古車での販売はあまりされていないようです。最もBMWの中でもプレミアムなチューンドカーとして販売されていますから絶対数も少ないでしょう。見つけたら買う!ぐらいの意気込みがないと少々難しいかもしれません。