8シリーズと6シリーズ

BMWが提供する種類豊富なラインアップは高級セダンだけではありません。「駆け抜ける喜び」というスローガンを掲げる同社ですからセダン以外にもクーペやカブリオレなどもラインアップしています。そのクーペやカブリオレを位置づけるクラスが8シリーズ、および6シリーズなのです。実はこの8シリーズは1代限りのモデルで1999年に生産を終えた、いわば大古車の位置づけになってしまうのですが、この後の6シリーズを解説するために必要なモデルとしてここに登場させました。
8シリーズはBMWとして異色のモデルとなっていて同社のクルマのデザインのアイデンティティである丸目ヘッドライトではなく、リトラクタブルヘッドライトとなっているのが特徴です。乱暴な言い方をすれば、同社のセダンである7シリーズをクーペ化した、というと分かりやすいでしょうか。登場したのが1990年で日本ではバブル末期にあたり、豪華な内容のクーペとして販売されていました。そのカタログもBMW史上最も大きなものとなっていて、専用封筒でなければ入りきらなかったそうです。しかし価格にあったバリューを顧客に提供できずに販売は低迷、1999年に1代限りでその幕を閉じたのでした。
余談ですが、巨大な車体の割にトランクにはゴルフバッグが入りきらないほどの割り切った車体構成であったようです。その後、8シリーズの後を受けて登場したのが6シリーズです。先代8シリーズがリトラクタブルヘッドライトなど他のBMWとは違った特徴を持っていたのに対して、6シリーズは同社のセダンをクーペ化したような風貌を持っています。このデザインのおかげか8シリーズで見られた実用性の低さは6シリーズでは見当たらず、モデルチェンジを経て現在もカタログにラインアップしています。この6シリーズは2ドアクーペ、カブリオレの他に4ドアクーペもラインアップしていて、同社セダンの1グレードであるグランツーリスモを4ドア化したような形状になっています。同じ4ドアでも外見上は流れるようなラインが特徴となっています。カブリオレに関しては、4座が基本となっていてソフトトップを閉じたときクーペモデルとスタイリングが統一するようなデザインになっているのが特徴です。
中古車では100万円以下のモデルも散見されますが、ほかのものと同様、あまり安いものに飛びつくのはお勧めできません。また、クーペやカブリオレといった形状でも値段が変わってくると思われます。