BMWモトラッドについて

BMWを語るうえで欠かせないキーワードが「駆け抜ける喜び」です。だとすれば、BMWのもう一つの顔であるモーターサイクル部門も見てみる必要があります。実はBMWのメーカーとしては四輪より二輪の生産の方が先でした。第一次世界大戦が終わり、航空機メーカーとして続けていくことができなかったBMWは様々な試行錯誤の末、二輪、すなわちオートバイの開発と販売を始めることになります。それが1932年の事です。R32と呼ばれたそのモデルは水平対向2気筒エンジンを縦に積んでいて、そこからミッション、ヘリカルギアを通してチェーンではなくドライブシャフトで後輪を駆動させています。
ちょっとクルマに詳しい方ならお分かりかと思いますが、四輪で言うFR方式そのものですね。このR32をはじめとしたBMWのオートバイは大変堅牢でなおかつ静かといった特徴を持っていました。そのため、その後勃発する第二次世界大戦ではナチスの軍用車として採用されたほどです。実際戦場においても他の国のメーカーのバイクよりも優れていたといわれています。当時から最先端のモノづくりをしていたことが窺い知れますね。
また、驚くのはこれだけではありません。このR32を始祖とするRシリーズは現在でもその車体構成をほとんど変えることなく販売されています。四輪のBMWがスポーティーなイメージを持っていたのに対し、二輪のBMWは少々落ち着いたイメージが持たれているようです。喜びを求める先がスポーツではなく、ツーリングといった一般用途に向けられているからだと思います。事実、低振動で静かなのは大昔のR32のころから変わっておらず、バイクなのに10万キロ走破する人もチラホラいるようです。特に人気なのがオフロード・デュアルパーパスモデルであるGSです。一見背が高く、足つきが悪そうでなおかつ重そうな車体なので最初は敬遠する人が多いようですが走り出すと外見とはうらはらに軽快な走りを見せ、なおかつ車高が高いために視界が良いというおまけつきで魅了されるようです。ただし、BMWだけあってツーリングだけでは収まらないのか、長い沈黙を破って近レース活動を始めました。S1000RRというモデルで打って出たのですが、このモデルも四輪同様、様々な電子制御を搭載しています。この先を期待したいものです。
さて、このオートバイの中古車も当然のことながら販売されており、先ほどのGSやオンロードのツーリングモデルであるRTなどが中心となっているようです。主な販売はBMW JAPANとなっていますので興味のある方はお近くの販売店まで足を運んでみてはいかがでしょう?